食育小説「ミート君とフード博士」第2話

学び

楽しく食べ物のことが学べる食育小説

肉が大好物な幼稚園児ミート君、ミート君を心から愛するやさしいお母さん、そして2人の強い味方フード博士 

食べ物についてフード博士と勉強しながらミート君は成長していきます。
食べ物に関わるいろいろな知識を楽しく学べる「食育小説」です。
どうぞお子さんとお楽しみください。ペンネーム 愛山鉄朗

登場人物

  • 主人公 ミート君
ミート君
ミート君

お肉が大好きな男の子

  • お母さん
お母さん
お母さん

ミート君のことを心から大切に思う優しいお母さん

  • フード博士
フード博士
フード博士

食べ物について何でも知っている2人の強い味方 フード博士

第2話 ミート君のおやつ

 ある日のことです。午後3時のカネの音が鳴りました。幼稚園から帰って、部屋でゲームをして遊んでいたミート君がその音に気づきました。

ミート君
ミート君

あっ、3時だ!ねえお母さん、おやつまだ?

 おかあさんはキッチンでいつもの通り、ミート君の大好きな甘いケーキと牛乳、ポテトチップスとペットボトルのジュースを用意しています。甘い物はあまり良くないと分かっているお母さんですが、実はお母さんも甘いものに目がないんです。

お母さん
お母さん

ミート君、今持っていくわね。

もうちょっと待ってね!

その時お母さんはふと、この前フード博士から言われた言葉を思い出しました。

フード博士
フード博士

~子どもの健康は親の責任!~

お母さん
お母さん

親の責任、親の責任・・・。ミート君、今日のおやつは焼きいもね!

ミート君
ミート君

エーっ、なんでー?どうして?

次の日、お母さんはミート君を連れてフード博士を訪ねました。

お母さん
お母さん

博士、この前はいろいろありがとうございました。

あれからミート君も嫌いな野菜も食べるようになって、何か前よりやんちゃが少なくなった気がします。

 横で聞いていたミート君も自慢げです。

フード博士
フード博士

それは良かったですね。やんちゃが減ってきたのは、間違いなく食べ物のおかげですよ!

落ち着きがでてきて、穏やかになったでしょ?

お母さん
お母さん

そうですね。以前に比べると手がつけられないような事は減りました。

本当に博士のおかげです。

フード博士
フード博士

穏やかになった理由は、肉食動物と草食動物を見れば、よくわかりますよ。

肉食動物はいつもするどい目をして、お腹が空くと獲物を狙って、うろうろ歩き回ります。一方、草食動物はとてもおだやかな目をしていて、いつも群れで仲良く、争いもしないでしょ?

お母さん
お母さん

確かにそうですね。

フード博士
フード博士

この前もお話しましたが、体は食べ物でできているのだから、日本人の遺伝子に刻み込まれた、すなわち日本人が先祖代々長きにわたって食べてきた食べ物を基本にして、バランスよく食べることが大切です。

お母さん
お母さん

そのバランスがなかなか難しくって・・・

フード博士
フード博士

そうですね。食事は毎日のことですから、献立を考えるのも本当に大変だと思います。

でも大切なミート君のためですから、頑張ってくださいね!

お母さん
お母さん

はい!ところで博士、食事のバランスってどのようにすればいいのでしょうか?実はよく分からなくって・・。

フード博士
フード博士

おかあさん、人間の歯は何本生えているかご存知ですか?

お母さん
お母さん

確か30本くらいだったと思いますが・・・。

フード博士
フード博士

そう、大人の歯は全部で32本。『門歯』が8本『犬歯』が4本『臼歯』が20本です。

野菜や海草などを噛み切るのが『門歯』、肉や魚などを引きちぎるのが『犬歯』、

米などの穀物をすりつぶすのが『臼歯』です。

つまり、食べ物もこの歯の割合、穀物(米):野菜(海草):肉や魚=5:2:1 が

食事の理想のバランスというわけです。一日の献立の中で、この割合を基本に考えればいいでしょう!

お母さん
お母さん

なるほどよく分かりました。ありがとうございました。

フード博士
フード博士

ところでおかあさん、今日はどうかしましたか?

お母さん
お母さん

あっ!そうでした。

実はミート君のおやつのことで相談したいんです。先日博士が言われた「子どもの健康は親の責任」という言葉が頭から離れなくて、ミート君にどんなおやつを与えたらよいのか困ってしまって。

フード博士
フード博士

それは素晴らしい!

よく大切なことに気が付きましたね!

食事と同様、おやつにも十分注意しなくてはなりません。

ミート君
ミート君

ふあ~~~~

横にいたミート君がたいくつそうに大きなあくびをしました。

フード博士
フード博士

ミート君、こんにちは!

野菜や海草もちゃんと食べられるようになったんだって!

偉いね~、すごいね~、いい子だね~!

ミート君
ミート君

日本食サイコーだね!でも不思議なんだ。日本食を食べるようになったら、

何だか体が軽くなったような気がして、「体重」も幼稚園で2等賞になったし、

かけっこもちょっと速くなったんだ。すごくうれしくって!

フード博士
フード博士

それは凄いな~。その調子でかけっこも1等賞になるといいね?

ところでミート君は3時のおやつは楽しみかな?

ミート君
ミート君

もちろんだよ。でもね、きのうのおやつ『焼いも』だったんだよ!いつもはケーキ🍰とかアイスクリーム🍧とかポテトチップスとかジュース🍹なのに・・・。

ミート君
ミート君

博士、お母さんに言ってよ!

かわいいミート君がかわいそうだって!

フード博士
フード博士

『焼いも』🍠だったんだ!それは豪華だったね!

ミート君
ミート君

豪華? 焼いもだよ?

お野菜じゃないか!おやつじゃないよ!

フード博士
フード博士

いいかい、ミート君。『おやつ』というのはね、難しい言葉でいうと『間食(かんしょく)』っていってね、朝ごはんと昼ごはんの間、昼ごはんと夕ごはんの間に、ちょっとお腹がすいた時に食べる「ごはん」みたいなものなんだ。

ミート君
ミート君

そうなの?ぼくはおやつは「お菓子」の事だと思ってた!

フード博士
フード博士

もちろん今では、おやつに「お菓子」を食べることが多いんだけど、昔は焼いもとか、さつまいもを干した「干しいも」とかがおやつだったんだよ。ところでおやつの「焼いも」の味はどうだった?

ミート君
ミート君

それがとっても甘くておいしかったんだ!あんまり甘いから、おかあさんに「お砂糖かけたの?」って聞いちゃった!

フード博士
フード博士

もともとさつまいもが持っている自然の甘みなんだよ。だから、ミート君の体が喜んだんだね。おかあさん、とても良いおやつでしたね!

お母さん
お母さん

実は冷蔵庫の中にさつまいもしか入っていなくて・・・。でも、ミート君は焼いも1つで満足していました。いつもならケーキやジュースは放っておくといつまでも食べているのですが・・。

フード博士
フード博士

さつまいもの天然の甘味がそうさせているのです。さつまいものデンプンが体の中でゆっくり糖に分解されて吸収されるので満足するのです。

お母さん
お母さん

そうなんですね。

フード博士
フード博士

逆にジュースやケーキの砂糖は吸収が早く一気に血糖値が上昇するので、それを下げるためにインスリンというホルモンが大量に分泌されて、今度は低血糖になってしまうんです。だからまた甘いものが欲しくなるというわけです。

お母さん
お母さん

なんだか難しいですが、だから甘いお菓子やケーキは別腹って言うのですね!

フード博士
フード博士

最近ではペットボトル症候群といってジュースの飲みすぎによる低血糖で昏睡状態になっていしまう子どもや、糖尿病になる子どもまでいるんですよ。

お母さん
お母さん

へー、怖いですね。

フード博士
フード博士

さらにやっかいなのは・・・

お母さん
お母さん

まだあるんですか!

フード博士
フード博士

ふむ、低血糖になったのを元に戻す時、アドレナリンというイライラホルモンが出るのです。だから甘い物が欲しくてイライラし、食べたあともイライラしてキレるわけです。

お母さん
お母さん

食べ物は子どもの精神状態にも影響があるのですね!

フード博士
フード博士

糖分は脳の栄養なので重要なんですが、質と量が重要です。砂糖はリラックス効果もあるのですが、食べ過ぎると体をゆるませ免疫力をさげてしまう時もあります。だから風邪をひいたりするのです。

お母さん
お母さん

そういえば、甘いお菓子を食べ過ぎた後、ミート君よく鼻がつまったり風邪を引いていた気がします。

フード博士
フード博士

我が家の子どもたちは、おやつに“おにぎり”や“たくあん”を食べていますよ!奥さんが砂糖なしのクッキーやケーキを作ったりしています。

お母さん
お母さん

砂糖を使わなくてもできるのですか?

フード博士
フード博士

米飴とか甘酒とか天然の甘味を上手に使っていますね。

お母さん
お母さん

是非今度奥さまに教えていただきたいです。

ミート君
ミート君

う~ん、おはよう!博士

 退屈でいつのまにか寝てしまったミート君が目を覚ましました。

フード博士
フード博士

おや、おはよう!ミート君。よく寝ていたね。

ミート君
ミート君

うん。お腹空いちゃった!博士、何かおやつない?

お母さん
お母さん

こら、ミート君!ずうずうしい子ね。ごめんなさい、博士!

フード博士
フード博士

いや、いいんですよ。ミート君はケーキやジュースが好きなんだね。どうして好きなの?

ミート君
ミート君

甘いからだよ!甘いおやつはおいしいからね。

フード博士
フード博士

そうだね。甘いものはおいしいね。じゃあ、なぜ甘いんだろうか?

ミート君
ミート君

博士は質問が好きだね!甘いのはお砂糖が入っているからさ。

フード博士
フード博士

さすが!ミート君は頭がいいね~!でもね、甘いのはお砂糖だけじゃないんだ。焼いもだってお砂糖をかけていないのに甘かっただろ?

ミート君
ミート君

本当だね。お砂糖がなくても甘いものがある!果物も甘いし、かぼちゃだって甘いね。

フード博士
フード博士

うん。甘いものはたくさんあるけど、体によい甘みと食べ過ぎると体に悪い甘みがあるんだ!もちろん、よい物でも食べ過ぎたらいけないけどね。

ミート君
ミート君

甘いものにもいろいろあるんだね。

フード博士
フード博士

虫歯にもなりやすいし、“とうにょうびょう”といっておしっこがお砂糖のように甘くなってしまう怖い病気になることもあるんだよ。そんな病気になりたくないだろ?

ミート君
ミート君

もちろん、お友達と遊べなくなると困るからね。でも、ぼくは甘いお菓子やジュースが好きだけど、そんなにたくさんのお砂糖を食べているのかな~。

フード博士
フード博士

じゃあ教えてあげよう。おかあさんも一緒に考えてみてください。例えば、ミート君の大好きなショートケーキにはどれくらいの砂糖が入っていると思いますか?コーヒーに入れるスティックシュガーで考えてみて。

ミート君
ミート君

う~ん。1本くらいかな~?

お母さん
お母さん

コーヒーにお砂糖2本も入れたら甘すぎるので、私も1本だと思います!

フード博士
フード博士

ケーキの種類によって違うと思いますが、スティックシュガー5本以上入っていたりするんだよ。ペットボトルのジュースでは多いものだと10本以上も入っているんだ。冷たくして飲むからあまり感じないけどね。

ミート君
ミート君

え~!そんなに!

フード博士
フード博士

だから、ジュースを飲むときは量に注意しないといけません。甘いものを食べたり飲んだりすると、どんどん甘いものを欲しくなるのでキリがないんだ!何でも「ちょうどよい量」というものがあるからね。体に良いものでも、食べ過ぎたり、飲みすぎたりすると体が悲鳴をあげてしまいます。

お母さん
お母さん

今までミート君の好きな甘いお菓子やケーキを何にも考えずに与えてきましたが、ミート君の体のことを考えて、ひと手間をかけておやつを作るようにします。

フード博士
フード博士

そうですね。そのほんの“ひと手間”がお母さんの『愛情』なんです。お母さんが愛情を込めて作ったお料理やおやつは、きっとミート君の体にも心にも良い影響を与えますよ。ねえ、ミート君?

ミート君
ミート君

お母さん、その“手間”っていうおやつ作ってね!

お母さん
お母さん

はい、頑張ります!

 こうして、ミート君のお母さんはフード博士の奥さんに教えてもらいながら、お砂糖を使わないおやつを作るようになりました。最初は戸惑っていたミート君も、いつしか自然の甘さにも慣れ、今ではお母さんの手作りおやつが大好きになりました。そして、とても優しくなり、おだやかになってきました。お母さんの料理のお手伝いまでするようになったんですよ!食べ物って本当に大切ですね!

食育小説「ミート君とフード博士」第1話こちら

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