マクロビオティックの基本原則
マクロビオティックMacrobiotiqueとは、西洋医学の父ヒポクラテスが使用した古代ギリシャ語「マクロビオス(偉大な生活)」を語源として造られた複合語です。
マクロ(Macro):大きい・偉大な
ビオ(bio):生命・生活
ティック(tique):術・方法・論
マクロビオティック食事法は、食材の選び方に始まり料理方法、食べ方などにおいて宇宙の秩序(法則)を正しく取り入れるものです。マクロビオティックには次のような基本原則があります。
身土不二
もともと仏教用語で人間は生まれ育った土地(環境)の一部であり、からだと環境は切っても切れない関係にあるという意味です。つまり、その土地で収穫されたり、捕獲された食べ物を収穫された時期(旬)に身体に取り入れることです。
一物全体
「ひとつの物を丸ごと食べましょう」という意味です。
私たちは食べ物から生命エネルギーをいただいていますが、「命」は絶妙なバランスで成り立っています。例えば、人参に含まれるビタミンやミネラルなどが分析できても、人参そのものを作ることは不可能です。人参全体で完璧なバランスで存在しているのです。
したがってマクロビオティックでは、穀物であれば玄米や雑穀、全粒小麦粉などの未精白のもの、野菜であれば皮ごと料理していただきます。
玄米は一物全体食の代表
精米していない状態のお米を「玄米」と呼びます。精米の程度によって、玄米→部づき米→白米 となり、皮(ヌカ)などが削り取られて「全体食」から「部分食」に変化します。
玄米を土にまくと、芽を出し成長し、また実をつけます。「一粒万倍」ですね。つまり玄米には新たな命を生み出す生命力が宿っているといえます。私たちは食べ物を物質としてだけでなく、エネルギーとしていただいています。
だから、生命エネルギーの高い食べ物を食べることが重要です。
玄米の栄養素
玄米(100g)には次のような栄養素(一部)が含まれています。
- 食物繊維 3g(白米の6倍)
- ビタミンE 1.2mg(白米の12倍)
※強い抗酸化力があり「若返りビタミン」と言われます。 - ビタミンB1(チアミン) 0.41mg(白米の約5倍)
※糖質の代謝に欠かせない栄養素です。つまり糖質をきれいに燃やしてエネルギーに変換する 役割があります。つまり肥満防止になります。 - 葉酸 27mg(白米の約2倍強)
※赤血球を作る働き(造血の働き)があります。特に胎児の正常な成長に必要なため、妊婦や妊娠を予定している女性には重要なものです。 - カルシウム 9mg(白米の1.8倍)
- マグネシウム 110mg(白米の4.8倍)
- 鉄 2.1mg(白米の2.6倍)
- 亜鉛 1.8mg(白米の1.3倍)
- 脂質 2.7g(白米の3倍) ※ぬかの部分にぬか油があります。
【⇒こちらを参考に】
玄米じゃないといけないか?
このように、栄養的にみて「玄米」は理想的な穀物であるといえますが、主食は玄米でないといけないのでしょうか。
そんなことはないと私は考えています。玄米は白米に比べて「食物繊維」が多く、しっかり嚙まないと消化しにくく、糠(ぬか)部分に油が含まれるので、人によっては玄米を食べるとお腹が張ったり、胃腸に負担となる場合もあります。
そういう人は無理して玄米を食べずに、少量から始めたり、白米や部づき米に押麦などの雑穀を加えて食べることをお勧めします。
大切なことは、穀物(ごはん)を食事の中心に
することです
パンやうどん、そば等も穀物ですので体調・体質が許せば、食べても問題ありませんが、私たち日本人の遺伝子の中には「米」を食べてきた情報が刻み込まれていますので、やはり「米食」が望ましいですね。
コアラにとってのユーカリのような存在ということです。海外旅行から帰ってくると、無性にお寿司やおにぎり、お味噌汁が食べたくなりませんか?
おいしい玄米を炊く方法
健康志向の高まりで、マクロビオティック(穀物菜食)のレストランも増え、炊飯器に「玄米モード」が当たり前になるなど、玄米ごはんが身近な存在になりました。米が主食の私たち日本人にとっては
「米(ごはん)がおいしい」ことに妥協はできません。
玄米を食べる場合ならなおさらで、玄米がうまく炊けないと、家族は「玄米ごはんを拒否する」事態になります。ここでは、おいしい玄米ごはんの炊き方をご紹介します。
- 玄米を洗う
バットなどに玄米を入れ、籾殻やほこりなどを取り除いてから洗う。玄米は白米と違って精米していないので、洗う水も濁らないので2,3回水で細かい汚れを落とすだけで十分です。
※優しく、感謝をこめて洗いましょう!「ありがとう!美味しくなーれ!」(^^)/ - 洗った玄米をザルにあげて水を切る
水を切らないと、玄米を炊く水の量に誤差が出てしまいます。 - 圧力鍋で炊く ⇒圧力鍋の選び方についてはこちらを参考に!
- 炊飯器の玄米モードや土鍋で炊く方法もありますが、ぜひ圧力鍋で炊いてみてください。
モチモチの美味しい玄米ご飯が炊けますよ。 - 水切りした玄米を圧力鍋に入れる
- 玄米の1.2倍から1.5倍の水を入れる(柔らかめがお好みの方は多めの水を)
※圧力鍋の種類によって炊きあがりの固さに違いが出る時があります。
※玄米を炊く水にもこだわると、よりエネルギーの高い美味しい玄米ごはんになります。 - 塩を入れる(10合の玄米に対し、小さじ1の割合)
※玄米はぬか油があるので塩を加え、陰陽バランスをとります。 - 圧力鍋のふたをしっかり閉める
※ふたをしっかり閉めないと圧力が漏れてしまうことがあります。 - 火にかけ圧力をかける
※蒸気が出るなど鍋に圧力がかかったら、すぐ火を弱めず1分程度待って、しっかり圧力をかけるようにする。圧力が不十分だと米に芯が残ってしまう場合があります。 - 圧力を維持できる弱火にし、最低30分間圧力をかける。
※玄米ごはんのおこげは香ばしくて美味しいので、焦げても大丈夫(^^)/ - 30分たったら火を止め、余熱で焦げないように鍋の位置を移動させ、圧力が自然に抜けるまで待ちます。
- 圧力が抜けたら、炊きあがった玄米ご飯を天地返しして、全体の陰陽バランスをとります。
- ごま塩をかけていただくと、より一層おいしくいただけます。
- 炊飯器の玄米モードや土鍋で炊く方法もありますが、ぜひ圧力鍋で炊いてみてください。
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